コロナ禍でもフリースクールを新設する理由

大阪市に新校舎ができる。

阪急淡路駅から徒歩3分、JR淡路駅から徒歩1分の立地。

本来なら今年の6月に開校予定だったが、コロナ禍で抱えた負債により白紙に。

今年の年始からコツコツと探していた物件も前向きに検討をしていたが、そこも諦めなければならなかった。

しかし、皆様のご支援によりフリースクールは窮地を脱することができ、ダメ元で申請をしていた助成金事業が続々と認められることになった。

おかげで淡路校開校に向けて動き出すことができた。

再び新しい物件を探すことはなかなか骨が折れた。

予算内で条件(120㎡以上、駐輪場付き、駅から10分圏内、騒いでも問題のない場所と建物、近くに公園あり)を満たすことは非常に難しかった。

淡路は諦め同じ吹田でも探し始めたが、どう考えても予算内に収まらない。

もしくはかなり駅から遠いところを選ばなければならない。

頭を抱えながら毎日物件情報に目を通していると、1月末で退去予定の物件が出てきた。

すぐに問い合わせをし内覧。

直感で「ここだ!」と思った。

【あまかり】を決めた時も同様。

自分の感覚を信じ即決。

唯一の問題は予算を超えていたこと。

プレゼン力が試される時。

「ここ」が歩んできた歴史、目的、財政状況、今後の計画を赤裸々にオーナー様にお伝えする。

その結果、ご理解をいただき予算内に収めることができた。

意向を受け取ってくださったオーナー様には感謝しかない。

淡路校【ういるも】を作る理由

コロナ禍で大きなリスクを負いながらフリースクールを新設するには理由がある。

1つは、フリースクールの経営モデルを構築するため。

全国的にも持続可能なモデルとして確立することができていないフリースクールは、新設されることもあるが運営が厳しく閉じてしまうことも多い。

公的補助は大阪では一切なく、どこも経営は火の車。

その中で自分たちがそのモデルを作り手法を広め、全国にまだまだ足りない学校外の学びの場を増やしたい。

もう1つは、【あまかり】【いどばた】の両校が今冬で定員オーバーになる予想なので、「ここに行きたいけど行けない!」ということがないようにするため。

昨日は「ここ」が終わりスタッフ会議を開いていると、ある女の子から「ここ」に電話があった。

彼女とは、今年の夏から関わりがあるが、事情がありしばらく声を聞くことができなかった。

「学校に行ってないことは、悪いことなの?」
「学校に行くくらいなら、いなくなりたい。」

自分が学校に行けないことをただひたすら責めていた。

何度も過呼吸になりながら、心の中の葛藤をゆっくりと話してくれた。

学校に行けないのは、あなたが学校が楽しくて安心できる場所だと思うことができない環境を作っている大人が100%悪いんだよ、ごめん。

だから、あなたやあなたの家族は一切悪くない。

ラーメンが好きな人は偉くて、うどん好きな人は偉くないなんてことがないように、学校に行くことがその人の優劣を決めることなんてないし、フリースクールに行くことが正しいとか間違っているとかそんな問題じゃないんだよ。

2時間ほど話しをし、最後は前向きに話ができるようにもなった。

電話中、爪が手のひらに食い込むほど何度も拳を握り締めた。

あり得ない。

こんな小さい子どもをここまで追い込み、そんな思いにさせた社会は何が何でも変えなければいけない。

二度とこんな思いをさせてはいけない。

これは、僕のミッションでもあり社会のミッションだ。

その子には今逢うことは叶わないけど、新たな作戦を立てて少しでも前進するために一緒に動くことになった。

ちっぽけな僕だけの力では、腐った価値観を強要し子どもを追い込む社会を変えることは間違いなくできない。

何もできなくて想いだけで突っ走る僕を職員が支えてくれる。

そんな「ここ」の職員の想いはものすごく強い。

それぞれが持ち味を生かし、現場で子どもと関わる。

そこに一切の妥協はない。

時に厳しく自分を追い詰め時に全力で子どもたちと遊ぶ姿勢は、子どもたちからも絶大な支持を得ている。

職員が子どもたちを想う気持ちは子どもたちにしっかりと伝わっている。

だからこそ、学校以外にも学びの場がありそこに通う子どもがいてその子たちに寄り添う大人がいることをまずは知ってほしい。

そして、そこに通いたいと思った子どもはどんな理由があれ通わせてあげたい。

そんな想いから、このコロナ禍でもフリースクールを新設することに妥協はできなかった。

絶対になんとかしてみせる。

その子とは、そう約束をした。

職員以外にも、「ここ」を応援してくれる人はたくさんいる。

保護者の皆様、子どもサポーターの皆、マンスリーサポーター、定期購読をしてくださる皆さん、記事を読んでくださる皆さん。

お願いです。

この子はもちろん、第2・第3のこの子を社会が作らないよう一緒に動いてください。

この記事をシェアしてくださってもいいし、「ここ」を直接応援してくださってもとてもありがたいです。

子どもと関わってくださったり、この事実を周りの方に伝えてくださってもいい。

フリースクールは運動です。ムーブメントです。

あり得ないんです。

子どもにこんな思いをさせる社会は。

絶対に変えなければいけないんです。

これが現実として存在してはいけない。

だから、大人が動かなければいけないんです。

学校に行けないことで子どもの命が奪われるんです。

何度でも言います。

不登校は子どもの命の問題に直結しています。

大人の身勝手な価値観が命を脅かしているんです。

「学校に行くことがあなたにとっても一番いいよね?」

「学校に行かないと大人になれないよ!」

「そんなんで社会に出れるの?」

ふざけるなよ。

どの口がそんなでたらめなことを言うんだ。

お前の幸せを、お前のくだらない価値観を、大切な子どもたちに強要するな。

そんなことは、この子たちが決めるのであってお前たちが決めることじゃない。

子どもの権利を軽視するな。

子どもの成長の邪魔をするな。

子どもであれ大人であれ女であれ男であれホモであれレズであれ生まれがどこであれ障がい者であれ健常者であれ病気であれ健康であれ肌の色が何であれ貧乏であれ金持ちであれ家族がどうであれ犯罪者であれチビであれデブであれフリーターであれニートであれホームレスであれ不登校であれ、何であれ。

その人がその人として受け入れられない社会なんて健全な社会じゃない。

そんな社会に未来はない。

差別や偏見は絶対にあってはならない。

その人がその人らしく幸せに生きる権利は誰にでもある。

社会はそのためにあると信じている。

だから、子どもが泣いていたら笑顔になれるように僕は動く。

ずっとずっと幸せに生きることができるように、仲間と力を合わせ動く。

そのためにも、フリースクールはもっともっと必要だ。

【あまかり】【いどばた】に加え来年2月に新しい場所で開校するフリースクールでも、たくさんの子どもたちと出逢えることを楽しみにしています。


最後まで記事をご覧いただきありがとうございました。