モテようとするとやっぱりモテないらしい

最初に意識をし始めたのは前髪。

テレビで見ているかっこいいと思う人とそうでない人の違いを考えた時、恐らく前髪ではないか感じたのが小学校6年の時。

なにやらツヤがあり固まっている。

さらに調査をすると、”じぇる”というものを使っているらしい。

早速三科家の洗面所を捜索。

すると、”じぇる”はなかったが”むーす”は奇跡的にあった。

これだ、これに違いない。

元明少年は”むーす”を手に入れた。

いざ前髪に発射。

バチバチバチ!

裏面に書かれていたような丸みはなく、前髪にもかからず顔面に白いブツブツが直撃。

得体のしれない物体に顔面を攻撃され、すぐに洗顔。

裏面の説明を読み2回戦。

ははーん、この”むーす”とやらは軽く振ってから使うものなんだな。

学習をした元明少年は、軽く200回程シェイクをした後再び前髪へ発射。

真っ白な球体がスプレーの先から正体を現した。

ボトッ。

あれ?落ちたぞ?

前髪に付けたのに落ちたぞ?

テニスボール大の白い球体はその重みに耐えきれず洗面所の床にダイブ。

そうか!これは手に出して使う物なんだ!

再び賢くなった元明少年は、床から”むーす”を取り前髪にぺちゃぺちゃ。

しばらくすると、前髪がガチガチに。

やったー!これでモテモテやぁー!

女子が列をなして告白をしてくるに違いない。

明日もこれでバッチリ決めてやるぜー!

そう確信して次の日の朝を楽しみにした。

翌朝、一目散に洗面所へ。

あれ?なんか違和感がある。

じっと自分の顔を見ると、あきらかにいつもと違う。

よーく見てみると、おでこに赤い発疹が無数にできているではないか。

な、なんじゃこらぁぁぁぁぁぁ!!

もう”むーす”どころではない。

モテモテどころかブツブツやないかー!と絶望を感じていたら、その気配を母が感じたのか洗面所にやってきた。

「あんた、何してんの?」

やべ、内緒で”むーす”を使ったことがバレてしまった。

事情を説明すると、

「そらあかんわ!このムース、もう10年以上も使ってへんから!」

はぁぁぁぁぁぁ!?

10年も使ってへんねやったら捨てろよ!!

そんな危険物置いとくなよ!!

てかそんなことよりこのブツブツなんか痒いし!!

そしてそのまま学校に行き、前髪はいつものまま三科ブツアキくんのモテない時代はその後30年も続くのでした。


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