情けない大人の姿が子どもへの一番の栄養になる説

各市の教育委員会にお邪魔することが多くなった。

というのも、大阪府フリースクール等ネットワークを設立し各市のフリースクールの現状をお伝えすることはもちろん、教育委員会の皆さんからも課題認識や今後の方針をお聞きすることで民間と行政がタッグを組んでできることの可能性を見出したいと考えている。

今までは、NPOは割と行政の補完のような側面があったかもしれないが、一方で今回のコロナ禍では特に行政や教育員会・学校が担えるキャパシティーはとっくの昔に限界を迎えていると、現場の声を聞いていても強く感じる。

本来ならそうなる前に手を打ちたかったが、こうなってしまった以上は今後被害を最小限に抑えながら新しい取り組みをし始めなければいけないと感じる。

何度も言うが、今回のコロナ禍で抱えた子どものストレスを甘く見ない方がいい。

全世界が「そもそも何を大切に考え動いてきたのか」を可視化することができたことは悪い側面ばかりではないと感じているが、そのしわ寄せは間違いなく社会的弱者に向かう。

そして今僕が感じる第2の危機は、そのしわ寄せを死ぬ気で阻止してきた大人の疲弊です。

不登校に関することで言えば、今までギリギリ学校に通うことができていた子たちもどんどんこぼれ落ちてしまっている。

一気にペースが上がった教科学習についていけなくなった、適切な支援を受けていた、クラブが唯一のガス抜きだった。

そんな子たちがこのコロナ禍でドロップアウトをしている。

そこを今までと同じ人員配置で、個人の技量と踏ん張りでなんとかしようとした先生や大人が力尽き始めている。

カリスマ先生やベテランの想いとスキル、若手の体力に依存してしまっていた学校現場が崩壊する危機感は、コロナ以前から確かにあったように思う。

それらの課題はコロナ禍によって一気に表面化し、子どもを襲い大人を苦しめた。

だからこそ、今学校でできることとできないことをしっかりと線引きし、今まで以上に関係機関や民間と連携をすることも必要であると感じる。

僕は、そこの動きを加速したい。

先日、大阪府教育委員会の皆さんにお逢いした時もその課題を共有し、来年度からの不登校支援に関する方針を協議させていただいた。

子どもへの支援はもちろんだが、子どもを支える大人側を支える仕組みを同時に整備していかなければ、共倒れになる未来はすぐそこまで来ている。

だから、その危機感を共有するためにも今歯を食いしばって耐えている大人にも「頼っていい」ことを社会全体から発信をしたい。

先生や学校・教育委員会が「んー、もう限界!」と言うことで、救われる人は恐らくたくさんいる。

学校からのヘルプがあれば、「それ言っていいんだ」と先生が思うはず。

先生が「もう疲れた」と言って下されば、保護者の皆さんも疲弊している現実を伝えやすくなるかもしれない。

自立とは依存先を増やすこと。

決して一人で生きていく力をつけることではない。

それがどれだけ脆いかは、このコロナ禍で誰もが思い知ったはず。

不登校のしんどさを親も子どもも声を大にして言えなかったのは、こうした社会の閉塞感も十分影響しているように思う。

個人も組織も行政も国も、問題を抱え込む必要はないことを子どもたちのためにも言っていいと思う。

誰もが皆ちっぽけな存在だからこそ支え合わなければいけないことは、この国の教育が一番伝え続けてきたことなんじゃないか。

先日、社会福祉士と精神保健福祉士の試験を受けた二人の合格発表をYOUTUBEに上げた。

精神保健福祉士の資格を取ることができた馬場に対し、上岡は来年再び試験を受ける結果になった。

なぜこの時期にこのような動画を上げたかと言うと、大人も当然うまくいくこともあればいかないこともあるということをもっと子どもたちに知ってほしいという思いがあるから。

思いのほか生徒たちは喜んで観てくれた。

「三科さん!あの動画めちゃめちゃおもろい!上岡くんがww」

そう言ってまだ観ていない生徒に紹介をして、一緒に爆笑しながら観ているのを傍で見ていて動画を撮ってよかったと思った。

これからも大人の恥ずかしい姿を子どもたちに見せ続けようと思う。


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