不登校の友達にかける言葉・言ってはいけない言葉|行動の例も紹介

不登校の友達に対して、どのような声をかければよいのか迷ってしまう人は少なくありません。励ましたい気持ちがあっても、言葉の選び方によってはかえって相手を傷つけてしまう可能性もあります。一方で、気持ちに寄り添いながらそっと見守ることが、心の支えになる場合もあります。
本記事では、不登校の子にかけたい前向きな言葉や、避けるべき表現の具体例を紹介するとともに、言葉がなくてもできる支え方についても解説します。
【この記事はこんな方におすすめです】
- 不登校の友達への接し方に悩んでいる中高生
- 不登校の子どもと関わるきょうだいや親戚の子を持つ家族
- 不登校傾向のある子と日常的に関わる学校の同級生
- クラスメイトや部活仲間が不登校になって戸惑っている生徒
目次
不登校の友達にかける言葉のポイント
不登校の子にとって、同世代の仲間からの声掛けは、大きな安心感や心の支えにつながることがあります。しかし、言葉の選び方を間違えると、相手にプレッシャーを与えたり、疎外感を抱かせたりする恐れもあるため、相手の状況や気持ちを想像しながら、無理に登校を促さず、あたたかく寄り添うような言葉が大切です。
ここでは、不登校の子にかける際に意識したい言葉の種類について紹介します。
不登校とは関係のない言葉
- 最近ハマってることある?
- 〇〇の動画めっちゃ笑ったんだけど見た?
- この前〇〇に行ったら、好きそうな店を見つけたよ。
不登校の子どもと接する際には、あえて学校に関する話題に触れない言葉かけが有効な場合があります。何気ない日常の話や共通の趣味に関する話題は、相手に「変わらない関係性」を感じさせ、無用なプレッシャーを与えることなく安心してやりとりを続けるきっかけとなります。対等な関係を尊重し、相手のペースに合わせて交流することが大切です。
前向きになる言葉
- 今悩んでいるこの時間は長い人生の中で一瞬だよ。
- 今はゆっくりでいいと思う。焦る必要ないと思うよ。
- 無理しなくていいんじゃない
悩みや不安を抱える時期においては、「急がなくてよい」「今のままでよい」といった言葉が精神的な支えとなることがあります。本人の状況や心の状態に踏み込みすぎず、温かく見守る姿勢を言葉で示すことで、「理解されている」という安心感を持ってもらえます。相手の存在を肯定し、前向きな視点を提供することが重要です。
待っている姿勢が見える言葉
- いつでも連絡してね
- LINEだけ送ってもいい
- 返信はいらないけど、元気か気になったから連絡したよ
返答を求めるのではなく、相手のペースに合わせて関係を保ち続ける意思を伝える言葉は、不登校の子にとって大きな安心材料となります。「話したいときに話せる」「無理に反応しなくてもよい」というメッセージは、相手の自主性を尊重するものであり、心の距離を近づける効果が期待されます。継続的な見守りの姿勢を言葉にすることが重要です。
信頼を伝える言葉
- 今までと変わらないよ
- 会わなくても大切な友達だよ
- また一緒に遊びたいな
不登校という状況に変化があっても、人間関係の根本が揺らいでいないことを明示する言葉は、本人の心を安定させる効果があります。以前と変わらない友情や信頼が続いていることを伝えることで、「自分は受け入れられている」という自己肯定感につながります。言葉の選び方には配慮が必要ですが、真摯な気持ちを込めて伝えることが大切です。
不登校の友達に言ってはいけない言葉
不登校の子どもは、すでに「学校に行けていない自分」「がんばれていない自分」に対して強い罪悪感や自己否定の気持ちを抱えていることが少なくありません。
そのため、周囲の何気ない一言が、本人の気持ちをさらに追い詰めてしまうことがあります。善意からの言葉であっても、相手の心情やタイミングによっては大きな負担や孤独感を与えてしまうことがあるため、言葉選びには細やかな配慮が求められます。
ここでは、特に避けたい言葉とその背景について解説します。
プレッシャーになる言葉
- いつ学校にくるの
- みんな待ってるよ
- 学校にこれば楽しいと思うよ
こうした言葉は、一見すると励ましのように見えますが、当事者にとっては「行かなければいけない」というプレッシャーにつながるおそれがあります。不登校の子は、すでに「学校に行けていない自分」に対して強い後ろめたさや不安を感じている場合があります。周囲からの期待を過剰に感じることで、かえって自尊心が傷つき、状況が悪化することもあるため、無理に登校を促すような言葉は避けましょう。
否定的で個人的な価値観が含まれる言葉
- 甘えているだけじゃない
- 昔はあんなに元気だったのに
- 怠けているんじゃないの
これらの言葉は、相手の現状を否定し、本人の努力や悩みを軽視する表現となってしまいます。不登校には明確な理由が表に出にくい場合もあり、第三者には見えない苦しみを抱えている可能性があります。「甘え」や「怠け」といった言葉で片づけることは、その子の内面を理解しようとする姿勢に欠け、信頼関係を損なう要因となります。価値観を押しつけるのではなく、受けとめる姿勢が大切です。
原因を探る言葉
- どうして学校に来ないの
- 学校に来なくなった理由が何かあるの
不登校の子に対して、直接的に理由を問いただすことは避けたほうが良いとされています。本人自身がまだ原因を言葉にできなかったり、うまく説明できないほど混乱していたりすることも多くあります。
また、原因を明かすこと自体が大きなストレスになる場合もあります。関係性が築けていない段階で無理に理由を聞こうとすると防衛反応を引き起こし、心の距離が広がる可能性があるため注意が必要です。
ポジティブに見えて負担になる言葉
- 元気出して
- 頑張って
- ずっと休めるの羨ましい
励ましのつもりでかけた言葉でも、相手の状態や気持ちに寄り添っていなければ、思いがけずプレッシャーや不快感を与えることがあります。「元気を出す」ことが難しいからこそ、不登校の状態にある子どもも多く、無理に前向きになるよう求められると苦しさが増す場合があります。
また、「休めて羨ましい」という発言は、本人の苦しみを軽んじているように受け取られかねません。相手の立場に立った言葉選びが求められます。
不登校の友達への対応は言葉がなくても大丈夫
不登校の友達と接するとき、「何か声をかけなければ」と悩む人も多いかもしれません。しかし、無理に言葉をかける必要はありません。大切なのは、相手の気持ちを尊重しながら、そっと寄り添う姿勢です。
たとえば、学校のプリントや配布物を届ける際に、玄関先で短く挨拶するだけでも十分です。沈黙の時間があっても、同じ空間にいてくれるだけで安心感につながることもあります。「自分のことを気にかけてくれている」と伝わる行動は、言葉以上に力を持つ場合があります。
以下のような行動を心がけることで、不登校の子どもとの関係をゆっくり築いていくことができます。
- プリントや配布物を届けるときに、軽い話題を交える
- 一緒にテレビや動画を見るなど、特別な話をしなくてもよい時間を共有する
- 好きそうなお菓子や本などを「これ面白かったよ」とさりげなく渡す
- 相手が話したいときに備えて、否定せず聞く姿勢を見せる
焦らず、自然な関わり方を意識することで、少しずつ信頼が育まれていきます。無理に励ますよりも、「そのままで大丈夫」という安心感を届けることが大切です。
まとめ
不登校の友達に対する言葉がけは、相手の気持ちに寄り添ったものであることが大切です。「待っている」「信頼している」といったメッセージは、さりげなく相手に安心感を与える効果があります。一方で、「頑張って」「どうして来ないの」などの言葉は、意図せず相手を追い詰めてしまう可能性があるため注意が必要です。
また、言葉がけに限らず、そばにいるだけでも気持ちは伝わります。無理に会話をしようとせず、自然体で関わることが、長く続く関係性につながっていきます。相手を思う気持ちを大切にしながら、できることから関わってみてください。