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「不登校はずるい」と言われたら?誤解を生む理由と対処法を解説

「不登校はずるい」と言われたら?誤解を生む理由と対処法を解説

近年、不登校は決して珍しいことではなくなり、誰にでも起こり得る身近な問題となっています。しかし一方で、兄弟が学校に通っている場合や、周囲の子どもが努力している姿と比較される中で、不登校の子どもに対して「ずるい」という言葉が向けられることがあります。

不登校の背景には心身の不調や学校生活でのつらさがあり、決して気楽に過ごしているわけではありません。表面的な印象だけで「ずるい」と判断することは誤解につながります。

当記事では、不登校が「ずるい」と言われてしまう理由や、その際の対処法、不登校の解消に必要な考え方について詳しく解説します。

【この記事はこんな方におすすめです】

  • 子どもの不登校で悩んでいる方
  • 他者から「不登校はずるい」と言われてしまった方
  • 不登校の子どもを守りたいと思っている方

「不登校はずるい」と言われてしまうのはなぜ?

「不登校はずるい」と言われてしまうのはなぜ?

不登校は決して珍しいことではなくなっていますが、中には「不登校はずるい」と感じる人もいます。特に兄弟が学校に通っている場合、その思いが強くなることもあります。

では、なぜそのように見られてしまうのでしょうか。ここでは具体的な理由を取り上げて解説します。

自由に過ごしているように見えるから

不登校の子どもは学校に行っていない分、家で好きなように過ごしているように見えることがあります。朝は登校時間になっても寝ていたり、日中にゲームや動画視聴をしていたりする姿を見れば、学校に通う兄弟や友達から「自分は頑張っているのに、なんだか不公平だ」と感じられてしまうのです。

しかし実際には、不登校の子どもは心身の不調や強い不安に苦しんでおり、自由に見える生活も精一杯の選択です。表面的な印象だけで「ずるい」と決めつけるのは誤解だと言えるでしょう。

行事だけ参加しているから

不登校でも、運動会や文化祭、修学旅行といった学校行事だけに参加する子どももいます。これを見て「普段は来ないのに、楽しい行事だけ出るなんてずるい」と感じる人がいるのも事実です。特に毎日学校に通っている兄弟や同級生にとっては「いいとこどり」に映るかもしれません。

しかし、行事への参加は不登校の子どもにとって大きな挑戦であり、長い間学校に行けなかった不安を抱えつつも「友達との関わりを保ちたい」「学校とのつながりを少しでも持ち続けたい」という思いから勇気を出して参加しています。不登校から一歩進むために大切なステップであり、責められるものではありません。

勉強の進め方が違うから

不登校の子どもは学校に通っていない分、授業を同じように受けていません。そのため「勉強から逃げている」「宿題をしなくても許されている」と周囲に見られることがあります。

しかし、不登校の子どもも自宅や別の学習環境で、自分のペースに合わせて学んでいることは珍しくありません。勉強の仕方が違うだけであり、その違いが誤解を生み「ずるい」と言われてしまうのです。

特別扱いされているように見えるから

不登校の子どもは、学校や家庭から特別な配慮を受けることがあります。たとえば、保健室登校や別室登校で学習したり、カウンセラーのサポートを受けたりするケースです。

こうした支援は本来、子どもの心身の負担を軽減するために必要なものですが、周囲には「特別扱い」と映ってしまうこともあります。理由を知らないことから生まれる誤解が「特別扱い=ずるい」という見方を生んでしまうのです。

「不登校はずるい」と言われたときの対処法

「不登校はずるい」と言われたとき、本人や保護者が深く傷ついてしまうことは少なくありません。しかし、多くの場合その言葉は、不登校の背景を知らず、表面的な印象だけで判断していることから生まれています。

ここでは、不登校が「ずるい」と言われたときの具体的な対処法を紹介します。

相手の気持ちを理解する

「ずるい」と言う人の背景には、羨ましさや不公平感が隠れていることがあります。たとえば「自分は休みたくても学校へ行っているのに、あの子は休めている」といった気持ちです。まずは「そう思うのも無理はない」と受け止める姿勢を持つことで、相手も落ち着きやすくなります。

ただし、相手の気持ちすべてを肯定する必要はありません。相手の気持ちを理解しつつ、自分や子どもを責めないことが大切です。相手の発言の裏にある感情を見抜くことが、無用な衝突を避ける第一歩になるでしょう。

無理のない範囲で状況を説明する

不登校の背景を相手が知らない場合、「楽をしている」と誤解されやすいものです。そのため、心身の不調や学校での困難など、簡単な事情を伝えると理解が深まることがあります。

とは言え、無理に詳しく説明する必要はありません。信頼できる相手であれば、「実は体調面で難しいことがある」など、短く触れるだけでも十分です。すべてを説明しようとすると説明する側の負担が増えてしまうので、自分や子どもの気持ちを守りながら話すことを優先させましょう。

専門家に相談する

「ずるい」と言われ続けて辛いときは、専門家に相談するのも有効です。スクールカウンセラーや地域の教育相談機関、不登校支援のNPOなどは、不登校の理解を広めるサポートもしてくれます。専門家の意見や国の支援方針を紹介することで、第三者の客観的な視点から相手の誤解を和らげられる場合もあります。

また、専門家と一緒に対応方法を考えることで、本人や保護者の安心感にもつながります。

「ずるい」と言う相手と一定の距離を取る

どんなに丁寧に説明しても、相手が理解を示さないこともあります。その場合は、無理に分かってもらおうとせず、距離を取ることが自分を守る手段となります。

相手の発言に振り回され続けると、心がすり減ってしまいます。物理的に距離を置けない場合でも、「世の中にはいろいろな考え方がある」と割り切り、理解のある人と関わるように意識しましょう。自分や子どもの心を守ることが、最も優先すべきことです。

不登校の解消には時間が必要

不登校の解消には時間が必要

不登校の解消には、どうしても一定の時間がかかります。多くの子どもにとって、不登校は一時的な怠けではなく、心身の不調や人間関係の悩みなどが背景にあり、無理に登校を促しても逆効果になることがあります。

特に「ずるい」と言われたからといって、焦って学校へ行かせるのは本人を追い詰める結果になりかねません。大切なのは、子どもの気持ちをしっかり聞き、安心できる環境を整えながら少しずつ前に進むことです。

不登校の対応の本来の目的は「再び学校に通うこと」だけではなく、将来的な社会的自立を目指すことです。そのためには、学校や家庭だけでなく、カウンセラーや教育支援センター、NPOなど専門機関と連携し、本人に合った学びの場や居場所を確保することが大切です。親も一人で抱え込まず、相談窓口を利用することで新たな解決の糸口を得られるでしょう。

また、子ども自身が安心して話せる相手や場所を持つことも大切です。日常の中で対話を重ねることで信頼関係が深まり、少しずつ不安や悩みを打ち明けやすくなります。すぐに結果を求めるのではなく、本人のペースを尊重しながら、小さな一歩を積み重ねていくことが、不登校の解消につながります。

まとめ

不登校の子どもが「ずるい」と言われるのは、学校に行かずに自由に過ごしているように見えたり、行事だけに参加しているように映ったりするためです。

しかし、その裏には強い不安や体調不良などの背景があり、子ども自身は精一杯の毎日を過ごしています。大切なのは「ずるい」という言葉に振り回されず、誤解を受けた際には無理のない範囲で説明したり、必要に応じて専門家のサポートを得たりすることです。

また、不登校は短期間で解決できるものではなく、焦って学校に通わせようとするのは逆効果となってしまいます。子どもの気持ちを尊重しながら、小さな一歩を積み重ねることこそが回復の道につながることを念頭に置いて、子どもと接していくことが何よりも大切です。