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子どもの不登校は親のせい?責任を感じたときの対処法

子どもの不登校は親のせい?責任を感じたときの対処法

不登校の子どもにとって、修学旅行への参加は大きな選択のひとつです。学校行事として特別な体験ではありますが、「必ず行くべき」といった決まりはなく、本人の意思を最優先に考えることが大切です。無理に参加させると心理的負担が増すこともある一方で、少しでも行きたい気持ちがある場合は、その希望を尊重し、段階的に支えていくことで自信や達成感につなげられます。

子どもが不登校になると、多くの保護者が「自分の育て方が悪かったのでは」と感じてしまいます。しかし、不登校は単一の原因で起こるものではなく、学校での人間関係、環境の変化、心身の疲労、気質的な特性など、複数の要素が絡み合って生じるケースが大半です。

当記事では、「親のせいで子どもが不登校になってしまったのでは」と悩む保護者の方に向けて、不登校の原因や向き合い方を解説します。不登校は決して誰か一人のせいではなく、家庭環境だけで説明できるものでもありません。まずは「不登校は多様で複雑な背景をもつ」という前提を理解し、保護者自身が必要以上に追い込まれないことが、子どもに寄り添うための大切な第一歩です。

【この記事はこんな方におすすめです】

  • 子どもの不登校で悩んでいる方
  • 不登校の責任を感じている保護者の方
  • 子どもとの関わり方に悩んでいる方

子どもが不登校になるのは親のせい?

子どもが不登校になるのは親のせい?

子どもが不登校になると、「自分の育て方が悪かったのでは」と責任を感じてしまう保護者、とくに母親は少なくありません。しかし、不登校の原因は必ずしも親にあるとは限りません。

令和6年度の調査によると、不登校の児童生徒のうち「親子の関わり方に関する問題の情報や相談があった」と報告された割合は、小学生で16.9%、中学生では9.9%にとどまっています。実際には、学校での対人関係や環境への不適応、心身の疲労やメンタル面の問題など、多様な要因が複雑に絡み合って不登校につながるケースが多くみられます。

そのため、保護者が「自分のせい」と早合点してしまうのではなく、子どもの状況を丁寧に見つめ、原因を幅広く考える姿勢が大切です。まずは、子どもの気持ちや置かれている環境を正確に把握することが、不登校の解決に向けた第一歩です。

(出典:文部科学省「令和6年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要」

不登校は親のせいだと言われてしまう原因

不登校の原因は多様であり、一人の保護者に責任を押しつけられるものではありません。それでも母親が責任を感じやすいのは、社会に根強く残る「母親が家事育児の中心」という価値観や、日常的に子どもと接する時間の長さによる誤解があるためです。

ここでは、不登校が親の責任だとされてしまう2つの原因を解説します。

子育ては母親がするものだと考える風潮が残っているから

現代では「夫婦で子育てを分担する」という価値観が広がっているものの、親世代が育ってきた環境には「女性が家事や育児を担うもの」という考え方が根強く残っていました。こうした背景のもとで子どもが不登校になると、「育児の中心にいる母親が原因では?」と短絡的に捉えられがちです。

さらに、母親自身も知らず知らずのうちに「育児は母親の役割」という価値観を抱えているため、「私の育て方が悪かったのでは」と自責の念を抱いてしまうことも少なくありません。本来、子育ては家庭の状況に応じて夫婦で支え合うものですが、古い価値観が残っていることが、母親だけが負担を背負わされやすい社会構造を生み出していると言えます。

子どもと接している時間が長いから

母親が不登校の原因だと誤解される背景には、日常的に子どもと接する時間の長さがあります。親は日頃から子どもと関わる時間が長く、不登校になったときに「学校の様子に気づけなかったのは自分のせい」「普段から子どもと関わっているのだから責任がある」と感じやすくなります。

しかし、接している時間が長いことが不登校の原因になるとは言えません。日々の関わり方や環境の変化、学校での出来事などが複雑に絡み合って不登校は起こるため、母親だけが責任を負うものではありません。

子どもの不登校に責任を感じてしまったときの対処法

子どもの不登校に責任を感じてしまったときの対処法

子どもの不登校に保護者が責任を感じ、ストレスを溜めてしまうと、親子ともに余裕を失ってしまいます。まずは自分を責めすぎず、今できるサポートに目を向けることが大切です。

ここでは、罪悪感を軽くしながら、お子さまに穏やかに寄り添うための考え方をご紹介します。

不登校の原因は複雑であることを理解する

不登校には「これが原因」と断定できるものはほとんどありません。いじめ、友人関係の悩み、学習のつまずき、気質的な特性、環境の変化、体調の問題など、複数の要素が重なって起きることが多いためです。

保護者が「私の育て方が悪かったのでは」と思い込むと、必要以上に自分を責め、心が疲れてしまいます。不登校は親だけの責任ではありません。まずは「原因が複雑である」という前提を理解し、必要以上の罪悪感から距離を置きましょう。

ストレスを抱え込みすぎない

保護者が不安や焦りを強く抱えていると、その気持ちはお子さまにも伝わります。「親を悲しませている」という思いは、子どもにとって大きなストレスとなり、不登校の改善をさらに難しくしてしまうこともあります。

まずは保護者様自身が心の余裕を保つことが大切です。ひとりで抱え込まず、家族や友人、相談機関に気持ちを話すだけでも負担が軽くなります。また、趣味やリラックスできる時間を意識的につくることも、気持ちを整える助けになります。

親が安心して過ごしている姿は、お子さまにとって「家は安全な場所」と感じるための大切なサインです。

子どもとの時間を大切にする

不登校の時期は、学校に戻すことばかりに気持ちが向きがちですが、本当に大切なのは「子どもが安心して過ごせる環境づくり」です。無理に学校の話をしなくても構いません。好きなことや他愛のない話をするだけで、親子の安心感は育っていきます。親の価値観を押しつけようとせず、まずはお子さまの気持ちを丁寧に聞き取りましょう。安心した関係が築ければ、子どもは自然と本音を話しやすくなります。

不登校の期間は、親子関係を見直す貴重な時間でもあります。「学校に行かせる」より「心を整える」ことを優先し、お互いに居心地のよい時間を過ごしましょう。

欠席日数があっても卒業できることを理解する

義務教育である小学校・中学校では、欠席日数が多くても原則として留年になることはほとんどありません。成績や出席状況だけで進級・卒業が決まるわけではなく、最終的には本人の意思が尊重されることが多いためです。

また、学習面はオンライン教材や自宅学習で補うことが可能です。最近では、自宅学習でも「出席扱い」と認められる制度も整いつつあります。焦りすぎず、今のお子さまに合ったペースで過ごすことが大切です。

さまざまな進路があることを知る

中学校卒業後の進路は、全日制高校だけではありません。定時制・通信制高校、通信制サポート校、専門学科、さらには就職など、多様な選択肢があります。不登校の経験があっても、自分に合った環境を選ぶことで充実した高校生活を送ることは十分可能です。

まずは資料請求や学校見学を行い、卒業後のイメージを具体的にしておくと安心です。「学校に行かなかったから将来が閉ざされる」という考えは過去のものです。お子さまの特性や興味を尊重し、最適な環境を一緒に探しましょう。

第三者機関に相談する

不登校は、親子だけで解決しようとすると気持ちが行き詰まりやすく、負担が大きくなりがちです。悩みや不安を抱えたまま対応を続けるよりも、早い段階で第三者に相談することが大切です。

学校の先生、スクールカウンセラー、心理士、医療機関、児童相談所、専門支援団体など、相談先は多数あります。専門家に話を聞いてもらうことで、解決のヒントが得られるだけでなく、保護者様自身の心の負担も軽減されます。また、客観的なアドバイスは、親子関係を改善するきっかけにもなります。

一人で抱え込まず、状況に応じて第三者の力を借りることは、不登校改善の大切な一歩です。

まとめ

不登校を前にすると、保護者はどうしても不安や罪悪感を抱きがちです。しかし、不登校は決して親の育て方だけで決まるものではありません。

最も大切なのは、原因を一つに絞り込もうとせず、子どもの気持ちや状況を丁寧に見つめる姿勢です。保護者が心に余裕をもち、安心して過ごせる環境を整えることは、子どもにとって大きな支えになります。不登校は親子の関係を見直し、よりよい環境を整えるための一つの機会でもあります。焦らず、今できるサポートを一つずつ積み重ねましょう。